去年拓真はこのメニューが終わったあと言った。

『気持ちー。光、気持ちいいよな!!この汗が勝敗を決めるんだよ。スポーツは上手い下手もあるけどさ、結局最後はどれだけ汗を流したかだよ。だからこの汗は俺にとって一生に残る思い出』

私は息苦しかったがもっと走りたい…もっと汗流したい去年はそう思っていたのに。

私、今日は最後まで何を思って走ったんだろう。
今日のこのメニューで何を得たの?
きっと何も得ていない。

だって去年のようなきれいな汗、出してない。

ただ、早く終わればいい…そう思ってた。
私の悪いとこだ。自分の嫌いなメニューはただロボットのように支配されているだけ。


『光は上手いよ。だけど何か足りないんだよ』

いつか拓真に言われた言葉。私に足りないもの…。足りないものって何よ。

秋になり自分の嫌いなメニューが出てくるようになり私は毎日こんなことばかり考えている。

これはスランプの一つなんだろうか。