部活の休憩になると体育館からギリギリ陸上部が見えるところへ行く。もちろんそれは聖矢を見るため。

夏休みに入り、聖矢は全国の練習があるため会えなかった。

だけどこうやって体育館から見るのが私は好きだった。

今日もいつものようにその場所へ足を運んだ。

「えっ…」
いつもの聖矢は居なかった。私は咄嗟に走り出していた。

聖矢の周りには先生やチームメートがいた。
「聖矢っ」
私の声を聞きみんなが振り向く。

いつも強い聖矢が腕を目に当てて泣いているのが分かる。

「聖矢…」

その日はすでに全国大会一週間前だった。
私は聖矢の横にしゃがみこんだ。

「聖矢?」
私は聖矢の肩に手を当てて話す。

だけど…