「ごめっ……ん」
「泣き止んだか?」
ニコっと微笑み尋ねてくる知くん。
「うん、知くんが側にいてくれていっぱい泣けたから楽になったよ」
「そっか、よかった」
知くんは私を立たせるように支えてくれた。
「知くん…元彼、もうアメリカ行っちゃったって」
「そっか。でも、光?一生会えない距離じゃない。そうやろ?」
「うん…でも、」
「でもじゃない」知くんは私のほっぺたを少し摘まんだ。
「お前の想いは大事なものなんだから。諦めるな」そう言ってくれた知くん。
「うんっ」辛いけど知くんに背中を押されて楽になった気がした。
知くんとはそれからもよく会うようになっていた。
いつの間に私の心も落ち着いて側にいる知くんにドキドキするようになった。
ずるいのかもしれない。
聖矢に想いを伝えるって決めたのに、隣にいるとドキドキする。
聖矢が居なくなったら知くんにドキドキする。
これってすごくずるいよね。


