「う、そ……」
「うーん……」
耀太はどうすればいいのか分からずキョロキョロしている。
「嘘だ」
私は自然と目から涙が溢れてくる。次々に私たちの前を通りすぎていくみんなは何事だというようにじろじろと見ている。
「光……大丈夫か?」
耀太は心配そうに私の顔を覗きこむ。
「どうして…何で…ちゃんと伝えたかったのに」
私はその場でしゃがみこんでしまった。
「あいつ、光と別れてからいろいろ考えたみたいだ」耀太は聖矢のことを話し出した。
「光と別れてからもずっと光のこと好きだった。だから本当に最後までアメリカ行くの迷ってたよ。日にちだけがどんどん過ぎていくって。こっちで三学期を過ごすのも意味もないからって、早めに向こうに行くこと決めたんだ。こっちにいるとお前を忘れられないって」
ひどいよ……置いていかないでよ。
私がいる場所だけ、時間が止まった気がした。
その日、私は抜け殻のようだった。何も考えられなくて、何も考えたくなくて。
それを救ってくれたのは知くんだった。


