美優は私をギュッっと抱き締めてくれた。
「美優…」
「光、幸せな恋してね。光がいつも笑ってられるような恋、してね」
美優?
私、恋なんてどうしたらいいか分からないけど、だけど、絶対幸せな恋だよ。
「うん、今も聖矢のことで頭いっぱい」2人で笑いあった。
「屋上行く?」
「えっ!?」
「見るんでしょ?中谷の走っているとこ」
「うん」
昨日から今日の朝にかけての聖矢との出来事を話ながら屋上へ向かった。
「中谷ってそんな子なんだ」
「うん。」
「でも、多分光は特別」
「特別って?」
特別…。まだあの時は聖矢のことだけを考えてたから分からなかったけど今は、分かるよ。
私にとって聖矢は特別ですごく大事な人だよ。
「なんて説明したらいいか分かないよ」
美優は笑っていた。
トラックを走る彼はさっきとはまるで別人で風を通り抜けるように見えた。
足と土が一体になって、土が聖矢の足を運んでるように見えたんだ。


