私は聖矢の姿が見えなくなるまで彼を見つめていた。 胸が詰まるような思いだった。聞きたいのに聞けない。 それが今の私の無力さ。 まるで世界が終わってしまうのではないか、そんな空に思えた。 きれいなのにきれいじゃない。矛盾している。 私は何がしたいのだろうか。自分の気持ちが分からなくて身体中モヤモヤした。 40分しても帰ってこない聖矢。私は、聖矢のスパイクを袋にいれてカバンを持って聖矢の歩いていった方向に歩いた。 「俺、行きませんから」聖矢の声が聞こえる。私は咄嗟に隠れてしまった。