10秒15
電光掲示板に表示される。その瞬間会場は拍手と声に包まれていく。
「えっ、あれって高校記録ですか?!」
私は隣にいた高校1年生くらいの男の子たちに尋ねる。
「あっ、はい。おもいっきり更新ですよ」
「ありがとうございます」私はお礼を言ってすぐに走った。
愛する彼の元に。
100mのゴール付近に駆け寄る。聖矢は目をつむって空を見上げている。
その姿をカメラで捉える新聞記者たち。
「聖矢っ!!聖矢っ!」私はそんなことはお構い無しに大きな声で聖矢の名前を呼ぶ。
低い柵から体が半分以上でるくらいに前に出る。
聖矢は私の声を聞いて目を開けて私に駆け寄ってくる。
「光っ!!!やったぜ、やったぜ、俺!!」そう言って私を抱き締める聖矢。


