聖なる光【完結】


聖矢の準決勝の走りはとても軽く、楽しそうに見えた。

調子はどんどん上がっているようで、準決勝は10秒44を出した。相変わらず会場は騒いでいた。

準決勝の時間から2時間立った16時32分。

16時50分からついに本日最後の競技。男子100m決勝……。

美優たちに一緒に見ようと誘われたけど私は1人で聖矢を見守りたかった。

トラックに出てきた聖矢の姿は予選も準決勝とは比べ物にならないほど真剣な顔をしていた。

そしてトラックに出てくる人はみな、さっき私が聖矢たちに混じって話していたメンバーだった。

でも誰1人話さない。1人でいる。これが全国決勝のレベルなんだろうか…。

聖矢はひたすら足合わせをしていた。

審判から並んでくださいという声で私の方を見てくれた聖矢。

顔色は全く変わらないけど口パクで私に告げてくる。
゙見とけよ゙

私は首を大きく前後に振った。