「あっ、中谷くん!!」
「いや、ほんと」
「やっぱり近くで見たらもっとかっこいいね」
私はその声を聞き後ろを振り向く。
すみませんすみませんと言いながら人の足を乗り越える聖矢。
「びっくりした!!どうしたの?」聖矢は後ろの柵にもたれて私を見つめる。
「これ渡したくて」聖矢は小さな箱のようなものを私に渡す。
「何これ?」箱と聖矢を交互に見つめる。
「まぁ、開けてみ」聖矢がそう言うので箱をゆっくり開けてみる。
「うわぁー」中には可愛らしい指輪が入っていた。
「箱だけ豪華なんだけどな。中は普通に安物。」
「きれい」私はなめまわすように指輪を見つめる。
「見すぎだって」そう言って私から指輪を奪う。
「あっ」私は驚いて声を漏らす。
聖矢は優しい瞳で私の右の薬指に指輪をはめた。


