私はベンチに座りアップをする聖矢をじっと見ていた。
「光ちゃん、大丈夫?」
「えっ?!」聖矢のお母さんに顔を覗き込まれる。
「表情固いわよっ」そう言いながら笑う聖矢のお母さん。
「いや…緊張するんです。なんかすごいドキドキして…」
「ふふっ。ありがとう、聖矢のためにそんなに緊張してくれて。大丈夫よ、聖矢は。なんてったって光ちゃんが応援に来てくれてるんだから」
「はい!」聖矢のお母さんの言葉に安心した。
そうだよ、大丈夫だよ。
彼女の私がこんなに緊張してどうするんだよ。
緊張はやっぱりしたけれど、準決勝も決勝も落ち着いて見ることができた。
結局、聖矢の200mは6位だった。
聖矢は納得していないようだったけど、本命は明後日だと私に話してくれた。


