聖なる光【完結】


2人で話していたらすぐに家に着いた。
「あ、ここ」私は自転車のスピードを緩めて中谷くんに言う。
「ふーん」中谷くんは納得しながら私のマンションをじろじろ見る。

「じゃっ」そう言いながら中谷はもときた道を戻ろうとする。
「ちょ、中谷くんっ」中谷くんは振り向き私に顔を向ける。

「何処いくの?」
「何処いくのって帰ったらダメ?」
「えっ、だってこっちじゃないの?」と、私はマンションより先の道をさす。

「俺の家、さっき光がこけたとこらへん」
「えっー!?」
「そんなにびっくりしなくても」

「えっ、だってすごい遠回り…ごめんなさい」私は自転車からおりて頭を下げる。
「俺が送りたかっただけ。自分がしたかったからしたんだよ」
「じゃ、じゃあ私、お礼する。遠回りして送ってもらったし、助けてもらったし、お礼がしたい」

聖矢…
あの時ね、ほんとはお礼なんて口実だったの。

もう一度だけあなたと話したいって思ったんだ。

「うん、分かった。朝、屋上で待ってる」中谷くんは私にバイバイと言って家に帰っていった。