聖なる光【完結】


お母さんは私に゙happy birthday゙と言って私と聖矢を見送った。

「う〜腹減った〜まだ7時なのに!お母さんも何で朝ごはんのこと言わないのよー」
さっきから聖矢の自転車の後ろで文句しか言わない私。

今日は私の誕生日だからといって聖矢の自転車の後ろに乗せられた。

「うー寒い。腹減ったー」
「うるさいな〜」聖矢は自転車を止めてかばんからパンを取り出した。

「はい」そのパンを渡してきた聖矢。
「これ聖矢のおやつでしょ?」

聖矢は毎日、部活が始まる前、いつもパンを食べている。
食べないとやる気が入らないという聖矢。

「いいよ、まだあるから。あとこれ着とけ」
そう言って学ランを着せてくれた聖矢。

「聖矢寒いじゃん」
「いいよ。自転車漕いでたら暑いんだよ」
「ほんとに?」
「うん、大丈夫だから着とけ」
「ありがとう」聖矢は少し笑ってまた自転車を漕ぎ始めた。

「おいしいか?」
さっきまで私の言葉を全部無視した聖矢。
優しい声で話してくれる。それが嬉しくてパンがいつもより美味しく感じた。

「うん、おいしい」
「よかったな」

そう言って自転車を漕ぎ続ける聖矢。