「あんた、おもしろいね」私は焦って謝った。
「あっ、すみません」
「あのさ、俺たち同期だよ?」
「えっ、はい」
「何で敬語使うの?」
「いや、あのー…すみません」
「ごめん、ごめん。朝あんなとこ見せたからびっくりしてる?」
「えっ、うん」急に冷静になりタメ口に変わった。
「そっか。ってか大丈夫?」
「あっ、うん。ありがとう」私は、なぜこんなにびっくりしているかは朝のことだけじゃない。
さっき周りを見回したら誰も居なかった。
だから鼻歌をしていた。
もしかして…
「あのさ、私の鼻歌聞いてた?」私は恐る恐る聞いてみる。
「聞いてたってかあんなに大きな鼻歌歌ってたら嫌でも耳に入ってくるけどね」
「嘘ーー!?もう今日、最悪すぎる」私はしゃがみこみいじける。
「別に何にも思わないよ。俺だってしたことあるし」
「ほんと?」
「うん、ほんと」
男の子は優しい笑顔で私に答えてくれた。
私は安心したように立ってかばんをかごに入れ直した。


