「あおいーっ!」 公園通りの歩道を歩いていた葵は、大声で名前を呼ばれて振り向いた。 後方には誰もいなかった。葵はまた歩き出した。 「あおいっ、こっち、こっち、車道だよっ」 見ると、両親と海外旅行に行っているはずの夏希が、真っ赤なイタリア車の助手席から身を乗り出して大声を出していた。 「どこいくのーっ」 「別に。ただブラブラしていただけだよ」 葵は肩をちょっと上げてそう言った。 「ちょっと待ってね。いま寄せさせっからさ」 夏希は、運転席の男に命令して路肩に車を止めさせた。