目覚めるとそこは見覚えのない部屋だった。
ふと、右手を握って寝ている綾香を見つけた。

「綾香?」


その声に反応して綾香が目覚める。

「…裕二君…」

その途端わっと泣き出してしまう。

「あれ…俺…?」

その時頭をぽんと叩かれる。

「まったくもう。お母さんまた輸血で大変よ」

見ると涙を浮かべている両親がいた。

「覚えてないのか?手首…」

父が言った言葉に反応してみると左手首には包帯が巻かれていた。


「そうだ、俺、死のうとしたんだ」

「先生呼んできますね」

と母が出て行った。

「すっごくすっごく心配したんだから!」

半ば怒って綾香が言った。

「そうだぞ、裕二。綾香さんがいなかったらお前は死んでたかもしれないんだぞ


ぼろぼろと泣く綾香を見た。

「綾香が…?どうして分かったんだ?」

「裕二君が死んじゃうって聞こえてきたのよ…」

涙を浮かべた。

「かをりちゃんだったの…あの声が教えてくれたのよ。『裕ちゃん先生!死んじゃう!』って声が聞こえたのよ。」

「まさか…」

「うん、でも確かに聞こえて裕二君の家に走ったのよ…裕二君においでなんて言ってない。生きてって言ってるのよ?かをりちゃんは…」

放心してる裕二の肩に父が手を置いて

「生きなきゃな、裕二」

すると、裕二は涙を見せ、号泣した。