そう言えばパパもこうやって乾かしてくれていたなぁ


遠い日の記憶が蘇る


洋輔がドライヤーのスイッチを切る頃には自然と涙が流れていた


「どうした?」


無言で肩を震わせるあたしを後ろからそっと抱き締める


「グスッ…パパをね思い出してたの…いつもこうやって乾かして貰ってたのに…あたし忘れてた」


「少しずつ思い出してけばいいんじゃねぇか…俺達がいる安心しろよ」


洋輔の言葉と温もりで胸が温かくなった


すっと離れて頭をヨシヨシと撫でるとあたしを立たせた


「濡れてる…」


顔を覗き込んで涙でぬれた目元をペロリと舐めた


「なっ………///」


あたしは顔に手をやり一気に火照った頬を押さえる