暫く口にしていなかった"パパ"…記憶が溢れ閉じた蓋は今にも外れそうだった


「チー…思い出せよ親父さんを…あの頃を…俺達を!!」


亮の力強い言葉に楽しかった思い出が記憶が一度に溢れかえりあたしの心がじわっと熱くなった


─そして涙は溢れだす─


「ふぅっ…うっ…パパ…ママ…うぐっ…みんな…ごめんなさい…あたし…あたし…うっく…」


「思い出した…?つらくても忘れちゃいけない事もある…千紗ちゃんを愛してくれた人の思いを忘れてはいけないよ」


昴はそっとあたしを抱き締めた


「ふえっ…っう…っく…わ…かった…」


涙はとめどなく流れ昴のシャツに吸い込まれていく


大好きなパパに抱き締めて貰っているような気がしていた