その夜は誰も千紗の部屋にはいかなかった


いや…いけなかった


眠れない夜を過ごした千紗は次の日の朝早くに家を出ていた


誰とも顔を会わさないように


学校には行きたくない…


あの2人の顔を見るのが辛かった


何時もより早い電車に揺られながら


『このままどこかに行ってしまいたい』


そんな事を考えていた


ポンと肩を叩かれ驚いて振り向くと少し眠そうな悠斗がいた


「……はよっ…ふぁーねみっ」


大きな欠伸をして伸びをする


「ふふっ…おはよっ寝ぐせついてるよ」


「うっわマジで…」


頭をワシャワシャしながら「うーっ」と唸る


「あはははっ」


「笑うなよ…」


悠斗は子供みたいに拗ねて言った


あたしはまた『ふふっ』と笑った