晩秋。

身は凍るほどに寒く、空が果てしなく遠くに見えた頃だった。

私達二人の住む湊町にも、冬が訪れを告げようとしていた。

近くの中学校に通う私たちは、どこにでもいる普通の一年生で、特別珍しい訳でもなかった。

その時の私たちは、たった1つの小さな命さえ預かることの出来ない、本当に未熟な子供だった。

今はどうだかわからない。

けど、少なくともそのときの、波月と千春は子供だった。