「………」

しばらく静かな沈黙が続いたが

突然、亜芽が立ち上がった

「亜芽…?」

「私、教室戻るね」

亜芽そう言うと力なく微笑んで保健室を出て行った

「………」

「大丈夫かな…、ってもうこんな時間!?」

先生は時計を見ると急いで書類を鞄に詰めていた

「何か用事ですか?」

「忘れてたけど、私今から出張なの」

先生は困ったように笑った

「衣笠さんはどうする?まだ具合悪い?」

呀江は少し考えて

「……今日はもう帰ります」

と申し訳なさそうに言った

「そうね…顔色悪いし、無理して倒れても困るし」

先生はそう言って職員室に電話を入れた

「もしもし、銘川(メイカワ)です…実は衣笠さんが……」

呀江は先生の後姿をボーっと眺めながら

あの夜、自分を生きる都市伝説『白猫』と名乗った人物について思い返していた