「っ…呀江、私どうすれば……」

「……なにもしなくてもいいと思うよ」

呀江が静かに言うと俯いていた亜芽は勢いよく顔を上げた

「放っておけって言うの…?」

「いやいや、そうじゃなくて」

泣きながら睨みつけてくる亜芽に呀江は苦笑いで返した

「傍に誰かいてくれるだけでも、だいぶ楽になるじゃないかなって思うの」

「………」

「だから…戻ってきたら傍に居てあげよう?」

亜芽は黙って頷いた

呀江はそれを見て安心した顔を浮かべたが、すぐ目を伏せた

「ほら、二人ともそんな辛気臭い顔しないの」

奥から先生が苦笑いしながら出てきた

「先生…」

「そんな顔してちゃ、伸也君が心配しちゃうよ…はい、お茶」

先生は静かにお茶を置いた

「ありがとうございます、先生」

「あ、ありがとうございます…」

先生はふわりと笑って椅子に座った

そして亜芽を見て少し悲しそうな顔をした

「…伸也君は早退扱いで今日はもう学校に戻ってこないって」

「そうですか…」

亜芽は心配そうな顔をして窓の外を見た

呀江はそんな亜芽を悲しそうな目で見ていた