「で、どうしたの?」

「…実は、伸也の妹が」

「それは知ってる、そうじゃなくて辛そうな顔してどうしたのって」

呀江がそう言うと亜芽は少し驚いた顔をした

「知ってたんだ……」

「うん…」

「……お茶いれるから、ちょっと待っててね」

先生はそう言って

部屋の奥にある給湯室へ入っていった

「……呀江、私ね…今凄く自分を殴りたい気分なの」

「……え?」

呀江は亜芽の発言に目を白黒させた

「私、伸也に『大丈夫?』って聞いたの…凄く辛そうな顔してたから」

「うん…」

「そしたら、『大丈夫だから、そんな泣きそうな顔するな』って微笑みながら言われて…」

涙を堪えているのか、亜芽の声は少し震えていた

「…大事な妹を亡くして一番悲しいのは伸也なのに、慰めなきゃいけないのに」

「………」

「なのに、私は……気のきいた言葉をかけれなかったから…それが、悔しくてっ」

亜芽の瞳から堪え切れなかった涙が流れ頬を伝った

呀江はそっと亜芽の背中に手を添えた