「……?」

紫奈が湖の真ん中を見ると

そこには白猫が立っていた

「……白猫…」

紫奈が小さく呟くと

白猫は笑いながら手を顔の横まで持ってきた

その手には何かが乗っていた

「……っ…それは…」

紫奈は手にあるものを見た瞬間

顔を青ざめた

「……硅さんの…腕時計…っ」

「…これはおぬしが望みを叶えるための代償だ」

「代償!?そんな事一言も…」

紫奈はそう言いながら双樹を見た

双樹は何も言わずに紫奈を見た

「…望みを叶えるためには何かしら代償が必要……当り前のことだから…」

「そんな……形見を渡すくらいなら、望みは叶わなくてもいいわ!!」

紫奈は白猫に向かって叫んだ

「…なら、あの男には一生会えなくてもいいんだな?」

白猫はそんな紫奈に無表情に問いかけた

「…そ、それは………」

紫奈は口ごもってしまう