あれから数年後―…


「ママー!」

その声に振り返ると、

愛する娘、凜(リン)が私の方へ駆け寄って来る。

「凜、どうしたの?」

目線に合わせてしゃがむと、

「見て~!お花!」

凜が手に持っていたピンクの花を私に差し出して来た。

「わ、綺麗だね?」

「でしょー?ママにあげる!」

「ありがとう!」

笑顔の凜に、私まで笑顔になる。

この子の父親は…もちろん真尋くん。

でも、凜には父親はいない。


私は…一人でこの子を育てるって決めたから。


でも―…、

この子が大きくなったとき、ちゃんと本当のことを話そうって思うんだ。