‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 「今日は上様が大奥へおわたりになられます」 「朝から他の側室たちもいそいそと支度を…」 何人かの女官と藤野が前に座っている。 「姫様も美しく着飾って…ほかの姫に劣らぬように………」 「着飾るのは嫌い。適当にしてちょうだい」 女官たちは 上品な赤に飾りの少ない着物を選んだ。 鶴が一羽しなやかに舞っただけの地味な着物だったが お華が着ると皆、目を細めた。