夜の江戸の街を歩きながら、女はいった。 「わたくしの名は静(しず)と申しまする」 「俺は─…」 「愛之助さんでしょう?先ほど少し証明書がみえたもので」 「ああ─」 静は少し黙ったがすぐに口を開いた。 「愛之助さん──…何かに悩んでいらっしゃるようですわ。詳しくは聞きませんけれど………─」 静は少し恥じらいながらいった。 「わたくしとお付き合いしませんか?愛之助さん」