その人は、そのまま敵に向かって走り出した。 足音一つ立てない。 風の如くその人は宙を舞う。 そして、戦いは終わった。 「ごめんね。怖かったでしょ」 その人は私の所に戻ってきた。そして顔に巻いていた黒い布を取った。 現れた端正な顔が、にこりと笑った。