「いつもお世話になってるお店やねん。店主の里津さん。」
「初めましてなぁ!小さい店やけどゆっくりしていってなぁ!」
人柄の良さそうな笑顔に、少し緊張が和らいで、私も笑顔を浮かべる。
「はじめまして、酒井悠希と申します。」
「あら、礼儀正しい子やね。」
里津さんはそう言って私の頭を撫でた。
「…あ、これなんかええんちゃう?それから…これもええな。里津はん、この二着下さいな。」
「はいよーいつもおおきになぁ」
何やらお金のやり取りをして、お梅さんは荷物を抱えて私に手渡した。
なかなかずっしりとしたそれは、綺麗に畳まれた真新しい黒い袴。
「え…?え!?これ私の…!?」
慌て出した私に、お梅さんは呆れたような顔をした。
「なんで私が袴なんか穿くんよ。あんたのに決まってるやろ?」
「そんな…!二着も結構です!!!」
「あんなぁ…買ってあげた訳ちゃうねんから、ええやないの。心配せんかてちゃんと請求しますから。」
だからって…
腑に落ちない顔をした私に、お梅さんはため息をついた。
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