「…出来ません……。」
気がつけば、呟いていた。
「え?」
驚いたようなお梅さんの声に、私は意を決して顔をあげた。
「此処を辞める訳には、いきません。だから私は…私は男のままでいます。」
「…なんで?」
「私は…近藤さんに、助けて頂いた恩があるから…ちゃんと返したいんです。」
あの人がいなければ、私はきっと真っ暗な闇に呑まれていたから。
あの人がいたから、私は此処にいるから。
幸か不幸かなんて分からないけど、あの人に恩を返すまでは此処にいたい。
「…ふふっ…甘いわねぇ、悠希はん?」
楽しそうなお梅さんの声がしたと思ったら、首筋に冷たい何かが触れた。
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