満天の星空を見上げて、思わず手を伸ばす。
決して届かないと、知っているのに。
癖ってなかなか治らないものね、と思って少し笑う。
目を覚ましたら、もう辺りは真っ暗になっていた。
燃料ゼロになるまで体力と精神使ったのは、いつ以来かしら。
どうしたらいいか分からなくて、とりあえず外に出たら、見たことないぐらいの星が輝いていた。
そして冒頭に戻る。
「綺麗な星空やなぁ…」
不意に後ろからそんな声がして振り向く。
「星が降ってきそうやわ。」
綺麗な、人。
そこにいたのは女の私でも息を呑むくらいに、綺麗な人。
「こんばんは。それから…初めましてやな。梅と申します。」
妖艶に微笑むその人…お梅さんを思わず、見つめる。
「は…初めまして。酒井悠希です。あの…どうされたんですか?こんな時間に…」
屯所の中は基本、女性は入れないのに。
「悠希はんこそ、こんな夜にどうされたん?」
「私…は、……星を見てました。」
「星?確かに綺麗やもんね。」
くすくすと笑って、お梅さんは星を見上げた。
優しげな横顔に、安心感に似た感情が溢れた。
「…私、こんなに沢山の星を見たの初めてです。」
「え?」
心底驚いた顔をしたお梅さんに私はただ笑った。
「…私のいた場所は、星の輝けない場所だったから。」
ネオンが、眩しすぎる場所だったから。
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