「れ・・・麗くん・・・」





私の手を強く握りながら、ずんずんと進んでいく麗くんに戸惑いながら声をかける。



そんな私の揺れた声に気付いているはずだけど、麗くんはただ人のいなくなった静かな街の中を進んでいく。




手を、繋いだまま。



月明かりに照らされて、淡い陰が二人分揺れた。





「・・・お願い、離して。」





呟いて、懇願した私に、麗くんはやっと立ち止まった。




背は、向けられたままだけど。


でも、そのほうがいい。

私にとっても。



そう思って、小さく言葉を紡ぐ。




「・・・庇ってくれたこと、嬉しかったわ。ありがとう。」




守るように、そうやって扱ってくれたこと。


私一人じゃ、どうなっていたかわからない。




本当に、本当に、



「感謝、してるの。」



嬉しくて、嬉しくて。



この手を、握ってくれたことが、泣きたいくらいに優しくて。





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