「悠希ちゃん、」
涙混じりにその名を紡がれ、顔をあげる。
「貴女がその道を選ぶなら、もう止めないわ。だけど・・・それでも、貴女は私の娘よ。」
それでも、私を、
娘だと思ってくれるの?
優しく差し延べられた手を払いのけた私に、再び手を差し出してくれるの?
優しさが、ただ痛いぐらいに体に染みて。
幸せなのに、苦しくて。
「これ、預かってたから。」
そう言ってお菊さんは私に、薄桃色の簪と、深紅の紐を差し出した。
薄桃色の簪。
見覚えがある。
お梅さんが、私と出かけた日につけていた簪。
よく似合っていたから覚えてる。
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