「それをそいつが望むなら、母さんも、俺も、他の誰もが、引き止めるべきじゃないよ。」
麗君はそう言って、私を見つめた。
「・・・あんたがその場所を選ぶなら、それは覚悟だよ。」
壬生浪士組にいると決めた覚悟。
きっと、幸せになる結末なんてないと薄々気付いているけれど、それでも、そこにいたいと願う。
「・・・麗の阿呆・・・・・」
お菊さんが呟いた。
消えてしまいそうな声で、小さく。
「もう、あんな思い、したくないのに。もう二度と、大切な人を失いたくなんかないのに。」
お梅さんの、ことかしら。
きっと、そうね。
大切な人。
その死は、薄墨色の闇に溶けてもう二度と取り戻せない。
もう二度と、笑い合うことなんてできない。
それを理解した時に、広がった感情を、私も、お菊さんも、きっと生涯忘れられない。
「せめて・・・せめて、梅ちゃんの残したものぐらい・・・梅ちゃんが守りたかったものぐらい、私が・・・」
その言葉の続きは、真っ青な涙に沈んで、声にならなかった。
私はただ、零れ落ちるその涙を見つめた。
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