「・・・行けない。」
呟いた私に、お菊さんは少し眉をひそめた。
「・・・私、行けない!!!」
思わず、泣きそうになる。
理由は解らないけれど、ただ、あの場所を離れるなんてできないと思って。
「甘いことばかり、言っててはいけないわ。」
甘いことばかり。
本当に、そう。
人を斬る覚悟もないくせに、
きっとそんなことできないくせに、それでも刀を握っていたいなんて。
「あなたに人が斬れる?誰かの命を、背負って死ぬまで生きることが、できる?」
「・・・それは・・・・」
「その覚悟がないなら、あなたのいるべき場所は壬生浪士組ではなく、もっと違う場所よ。」
お菊さんの言葉が痛い。
全て正しいことだから。
死ぬ覚悟も、誰かの命を背負う覚悟もない私は、武士なんかじゃない。
私はきっと、本当の武士になんて、なれない。
だけど、どうしても、あの場所を離れたくない。
「・・・いたいなら、いればいいじゃん。」
沈黙に降り懸かったのは、麗君の声だった。
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