どくん、どくんと心臓が騒ぐ。 訳の解らない動悸に、焦りを感じた。 悠希は、総司のこと、俺のこと、ここにいる全ての人を、信じきっている。 まるで最初から疑うことなんて知らないみたいに。 総司のこと、心配して。 俺たちは最初からずっと、長州の間者だと疑っているのに。 「…俺は………」 悠希が間者だなんて、思えない。 再び鳴き出した蝉の声で、世界は通常を取り戻す。 土方さんに、言ってみよう。 そう思って、俺は副長室を目指した。 .