悠希へ――――――――


貴女がこれを読んでいるということは、私はもうこの世にいないのでしょう。


泣いてへん?
泣いてたりしたら、承知せえへんよ。


ちゃんと前を向きなさい。
その刀に誇りを思いなさい。


貴女は武士なのだから。


初めて会った日のこと、覚えてますか。

私はきっと、一生忘れられへんよ。


あんな事したのに、友達になりたいなんて、ほんまに驚きました。

やけど、ほんまに、嬉しかった。




貴女に会って、人を信じるのも悪くないって思ったんよ。




今日は悠希と初めて買い物に行ったんよ。

これが読まれてるのがいつなんかわからへんけど…

別れなんてきっと突然やから、今のうちに書いとくな。



私がいなくなった時、頼れる人がいないのは大変やと思います。


やから、ここに信頼できる人の名前を書いておきます。


大通りにある一番大きな呉服店にいる立花 菊という人を尋ねて下さい。


私の昔からの友人です。


貴女の全ての事情はもう話してあるので、困った時には頼って下さい。



悠希、
貴女に会えて、ほんまに幸せでした。



貴女の行く道が、光に満ちたものであることを、祈っています。




有難う。





――――――――――梅








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