「きっと誰も…、誰も、悪くなんてなかったんです。みんな、自分の守りたいものを守っただけ…」





それだけ、だったんだ。





「悠希さんは思ったよりもずっと、強いですね…」




そう言って沖田さんは私に綺麗にたたまれた紙を差し出した。






「君宛てだよ。」









そう言って、私を追い越して歩いて行った。






まっすぐと、背筋を伸ばして。









「…悠希さん。」







「はい、」












「ありがとう。」












小さく呟かれた言葉を、ただ受け取った。




背を向けられていて、その表情はわからないけれど。









けれどきっと、あの儚い笑顔で笑っているような気がした。












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