「悠希、いるか?」



そう声をかけられたのは、与えられた自室で布団を敷き、寝る準備をしていた時だった。




「はい。永倉さん…ですよね?どうぞ入って下さい。」




そう返事をすると襖が開き、予想通り永倉さんが立っていた。




「どうされたんですか?」




こんな時間に私を訪ねてくるなんて珍しいわ、と思って聞いてみる。




「いや…お前さ、総司とかぱっつぁんとか知らねぇか?」




沖田さんと原田さん?





「知りません…何かあったんですか?」



「いや…ただ見当たらねぇからよ。まぁいいや!こんな時間に悪かったな!おやすみ!」



「いえ、お力になれずすみません。おやすみなさい。」






ヒラヒラと手を振った永倉さんを見送って、そっと襖を閉める。





沖田さんはともかく、原田さんはいつも永倉さんと一緒にいるのに、どうしたのかしら…。





そう思いながら、蝋燭をふっと吹き消す。







月明かりのない夜は、ただ闇にのまれた。














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