その瞬間



俺は走りだして



無意識に



「っ優海!!!」



こう叫んでしまっていた。



会場から連れ出される、寸での所で俺はお嬢様を救出した。


「この手折ってやろうか?」


俺は本気だった。

汚い手でお嬢様に触れやがって


「じゃあまず右手から…」

ひっ…



三浦の俺を恐れている声が聞こえたが、そんな事はどうでもいい。



「やめて葵君っ」



お嬢様が俺の手をギュっと握ってきた。


「私ならもう大丈夫だから」


そう言って微笑む少女。





……大丈夫な訳ないだろ。


そんなに身体が震えてんのに……