"この婚約がお嬢様にとっての幸せ"


"お嬢様はきっと喜ぶ"





俺は自己暗示をかけようとした。

そうでもしないと……



…俺の心がもたなかったんだ。




――
―――
――――


「…っやめて!」


ハッ!!


慌てて顔をあげる。お嬢様の声がした。




その瞬間


俺の目に入った光景は…


身体を触られて震えている少女と


いやらしい笑みを浮かべている三浦悟志…



そして…


泣きそうな顔をした少女の



「助けて、葵君っ!!!」



助けを乞う悲鳴だった。




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