「ちょっと散歩してくるわ。時間までには戻ってくるわね。」
「行ってらっしゃいませ」
自分の部屋を出て、家の中をふらふらとさまよう。
散歩と言ってもただ家の中を歩くだけ。
私はおばあちゃんの部屋へ行った。
私が6歳の時、この世を去ったおばあちゃん。
私はおばあちゃんが大好きだった。
この部屋にいると自然と落ち着く。おばあちゃんとの思い出が沢山あるから。
…おばあちゃんの幼いころの話、結婚してからの話、私のお父さんを産んでからの話…
どれも懐かしそうに話をしてくれたけど、若い時の話はあまりしてくれなかった。
ただ、
『本当に心から好きになった人と結婚しなさい。』
とだけ、言い聞かされた。

