「…祖父を知っているんですか?」


葵君が爺に聞き返す。

「祖父?」


「修治は僕の祖父の名で、僕は永井 葵といいます。以後、お見知りおきを。」


爺はその言葉を聞くと目を細め、笑顔になった。


「そうか。君はお孫さんなのか。修治さんはお元気かい?」


一瞬沈黙が訪れる。


「祖父は…今年の春に亡くなりました。」


「そうか。つらい事を聞いてしまってすまないね。」

「いえ、大丈夫ですよ。さぁ早く家に帰りましょう!」


何事もなかったかのように葵君は車へと向かった。


私には…なんだか無理しているように見えて仕方がなかった。


葵君に対しての謎がまた深まって…私はまた頭を悩ますハメになった。


あと…何か度忘れしてる気がするんだけど…


何だっけなぁ?