作戦はこうだ。
まず誰にも見られないように部屋から抜け出して、会場へ戻る。
話しかけられたら私は黙ったままで葵君が対応。
私は具合が悪そうにする、というのが必須条件。
「では、行きますか!」
「ええ。」
………………
「まぁ優海様どちらに行ってらっしゃったのですか」
パーティーの手伝いに来ていた使用人に声をかけられてしまった。
「お嬢様は具合が悪くなってしまって、一階で休んでいたのですよ。」
咄嗟に葵君が対応してくれ、あのキラースマイルで使用人を魅了する。
「そうでしたか。ご主人様にお伝えしてきます。少々ここでお待ちを。」
使用人は顔を真っ赤にしてこの場から離れていった。
「楽勝ですね」
ふぅ、と息をつき葵君は小悪魔のように笑った。

