「ではお嬢様、僕のこの服を肩にはおって下さい」 「う、うん。でもどうして?」 今は真夏だし、冷房も程よくて全然寒くなんかないのに。 「具合が悪くなったから僕が介抱していた、という事にするんですよ」 そうすればお嬢様と僕は屋敷に帰らせてもらえるでしょ? と、葵君は可愛らしい微笑みをうかべ、まるでゲームをしている子供のようだった。 「お嬢様の演技力に期待していますよ」 耳元で甘くささやく。 後になって自分も緊張するのに、葵君はなんでこういう事をするんだろう?