そんな毎日が続いたある日のことだった。

今は昼休み。

私は美香と屋上に来ていた。

矢沢美香。私と同じクラスで結構中が良い。


私は本当に今のクラスの皆が大好きでいつも一緒に行動してるのは同じクラスの友達ばっかりだった。

いつしか、本当に琴美と過ごす時間が減ってきていた。

「ねぇ繭の彼氏っていいよね♪」

急に美香が言い出したから私はビックリした。

「翔が?翔は渡さないよ?」


私はこんなことを思いながら・・・頭には翔じゃなくて、佐々木先生が出てきていた。

「そっかぁ・・・」

そういう美香はすごく悲しそうな顔をしていて・・・私はすぐにわかったんだ。


美香は私の彼氏の翔が好きなんだって。

優しくて、運動神経抜群で悪ガキの翔が好きなんだって。


でもこの時の私は本当に馬鹿で口では渡さないとか言ってるのに頭では・・・私に翔は必要?とかそんな考えが浮かんでいたんだ。

そしてもう一つ・・・・。


【私が先生の彼女になればもう翔は必要ない。】


叶ってて幸せな自分より・・・叶わなくて不幸になる自分の方を夢みていた。



まえまでは純粋に翔が大好きで一生離れない。そう思っていた自分はもうこれっぽっちも残っていなかった。


頭には、先生、先生、先生、佐々木先生。

もう・・・全て先生で埋まっていたんだ。


「繭?私にさ?翔譲ってもらえないかな?」


美香が驚くような発言をして私は一瞬耳を疑ったがこう答えた。


「考えとくね」


って・・・・。


どうしてこの時私は「絶対無理、誰にも翔は渡さない」っていえなかったんだろう。


それはきっと・・・もう妄想の中では・・・・佐々木先生と付き合っていたから?

もう・・・翔は必要なくなったの?


この時の私は・・・翔のことを何も考えてなかったんだ。