・・・しかし、

ファントレイユと一緒だと、

彼女の態度は違っていた。

ソルジェニーに、

やはり丁重にご機嫌伺いの

言葉を述べ、しかし視線は、

後ろに控えるファントレイユに、

釘付けだったからだ。

「護衛の方も、

大変な勤務ですわね。

お相手が、王子ともなると。

・・・ところで護衛の仕事の、

空き時間は何を

していらっしゃるの?」

ファントレイユはいかにも

臣下と言う態度で、

それは静かにソルジェニーの

後ろで目を伏せていたが、

婦人に話しかけられて

その面を、上げた。

ソルジェニーもつい、彼を

見つめたが、彼が面を上げると、

聡明そうで隙の無い、

文句のつけ所の無い美貌の、

そのブルー・グレーの瞳が

一瞬、煌めくような輝きを

放って見え、あんまり綺麗で

ソルジェニーですら、

呆けた程だったが、

ご婦人にとっては尚更だった。

大公爵夫人の、タメ息が、漏れた。

が、ファントレイユは臆する事無く

密やかだが力のある声でこう告げた。