アースルーリンドの騎士 番外編ファントレイユとの出会い

だが彼女の夫の大臣は、

女性なら大抵色めき立つ

その色男と話している妻が

気に入らないらしくしきりに

彼女に、早くこちらに来い!

と、少し離れた場所から

頭を振りまくって合図を、

送っていた。

「・・・夫君が、お呼びのようだ」

ファントレイユがチラリと

そちらに視線を向けて

つぶやくと、

「・・・そのようね」

彼女も素っ気なく言い、

ソルジェニーに振り向くと

途端に、にっこりと

微笑んだ。

「・・・また、お会い出来ると

良いのですけれど」

そして、そっ、と視線を

ファントレイユに

残しながらもその場を、

立ち去った。