卒業式が終わり、
最後のホームルームを終えた先輩方が部室に集まった。
在校生と卒業生が向かい合う。
まずは顧問の先生の話。
隣に並んでいた千絵がときたま目に手をやるのが見える。
「それじゃあ、部長あいさつ」
先生の話が終わると
何人かの先輩は目に涙をためていて。
「あー…はい」
でも新島先輩は意外と平気そうな顔をしていた。
「高校に入ってからの3年間を思い出してみると
教室での思い出より部活の思い出のほうが多い気がする。
練習は辛かったし、行きたくない日だってあった。
でも、辞めなくて、途中で諦めなくて良かった、って今日改めて思った」
先輩を見ていたら目があった。
それは1秒だった気もするし、
もっと長かった気もする。
でも、先に逸らしたのは私のほうだってことは分かってる。
「どうしても行きたくない日とか
遊びたい日なんていっぱいあるだろうけど。
でも、そういう日もちゃんと練習しにこい。
そしたらきっと、今日の俺のように思えるから。」
隣の千絵が堪え切れなくなった涙を拭っていた。
「これからも頑張ってください。…以上です」


