他にも聞きたいことはあった。
でも店から3人が出てきたことによって会話は中断された。
結局、なんの収穫も得られなかった。
私が知りたかったこと、何も知れなかった。
先輩はもしかしたら
見えない壁を作っているのかもしれない。
それは恐らく、私に対してだけじゃなく、
他のみんなに対してもそう。
…そんなことを言うと、
なんだかエゴのように聞こえるが
私だってバカじゃない。
自分を客観的にみることくらいできる。
その結果、先輩は見えない壁を作ってる…多分。
先輩に少しでも近づけられたら…
そんなことを考えたけど。
それってイコール
『特別』になりたい、ってことじゃない。
知らぬ間に私は認め始めていた。
自分の恋心を…
だけど、その気持ちは
やっぱり『憧れ』だと誤魔化そうとすることを
堅く誓うのはその日の夜のことだった。


