合宿はそうやって、
自己嫌悪になることを幾度か繰り返しながら乗り越えた。
女子の部屋では夜な夜な恋バナ大会。
話すネタのない私は常に聞き役。
冷やかしまくって楽しんだりして。
でも新島先輩のことになると少し気分が落ちたりして。
それを悟られないように今までよりテンションを上げたり
必死で誤魔化した。
…いや、違う。
それが自然だった。
私は無理なんて1ミリもしてない。
スキだと認めるのは簡単だ。
今、自分の中でそう宣言して、
その想いを抱えて先輩に接すればいいだけ。
でも、もし認めてしまえば
海ちゃんとの折り合いもつかない。
誰にもこのキモチは話せない。
結果、自分の首を絞めるだけ。
ならいっそ、
この気持ちは『恋』ではなく
『憧れ』だと片づけたほうが楽なのだ。
この説明はもちろん、後付けだ。
とにかく今はまだ、認めたくない。
だから合宿が終わってから私は
先輩には憧れてるだけ、
そう言い聞かせるようにした。


